コーヒーの味はおおまかに苦味と酸味から構成されていますが、そもそもの味は何に由来さているのでしょうか?また、焙煎度で苦味と酸味のバランスが変わってくるのは何故でしょうか?
また近年、コーヒーの成分がさまざま疾病予防にいいらしいという噂もあります。
カフェインや他のどんな成分が体にいいのでしょうか??
今回はそのコーヒーの成分について考えていきます。
「ヤギ飼いカルディの伝説」と「イスラム僧オマルの伝説」。コーヒーの起源として有名なこの2つの伝説は、どちらも眠気覚ましや疲労回復がコーヒー発見のきっかけだった、という話です。
また、現在最古の記述とされているペルシャの文献に登場したコーヒーは胃に良いとされるコーヒーでした。
時代が下り、飲料として一般に普及しはじめると、人々に熱狂的に迎えられた反面、健康に大して有害であると言われた時代もしばしば。今でも「コーヒーは体に悪い」「胃をあらす」といったことをよく耳にします。こうしてみると、”コーヒーと体の関係”ははるか昔から途切れることのなく抱かれ続けた、大きな関心ごとのひとつだったことがわかります。
コーヒーの味というと、まず特有の苦味を思い浮かべる方も多いと思います。コーヒーの苦味成分としてはカフェインが有名ですが、豆の全成分の割合からみればその量はわずかです。
実はコーヒーの苦味は、カフェイン以外のものによるところが大きのです。
乾燥後のコーヒーの生豆には、多糖類(植物の骨格を形作る繊維など)を中心に、タンパク質や脂質、小糖類(甘さのあるショ糖など)、クロロゲン酸類、リンゴ酸・クエン酸・キナ酸などの酸、カフェインなどが含まれています。
焙煎すると豆が茶色くなるのは、小糖類とクロロゲン酸類、アミノ酸が主となって褐色の色素が作られるためです。そして、この色素が苦味のひとつの要素でもあるのです。
褐色の色素は大きさによって大別することができ、大きなものほど苦味は強くなります。浅煎りでは小さな色素が多く、深煎りになるにつれて大きな色素が増える傾向があります。つまり焙煎が深くなるほど苦味が強くなるのは、この色素の変化が影響しているのです。
そもそもカフェインはカカオや緑茶にも含まれている、窒素を含む天然の有機化合物である。
コーヒーを飲んだ時の酸味は、生豆に含まれているリンゴ酸やクエン酸などの酸味成分をそのまま感じているわけではありません。それは焙煎の加熱で化学反応を起こし、新たに作られた酸によるところが大きのです。クロロゲン酸類が分解してできるキナ酸はその主要なところで、酸味成分のなかでも酸味の増強効果の高さが特徴です。また、酢酸やリン酸なども多く含まれています。
生豆を焙煎すると、浅入りにも達しないかなり浅い段階までは、酸(特にキナ酸)の総量は増えていきます。そこからさらに温度が高くなると今度は熱分解が始まり、焙煎が進むにつれて酸の量は減少していきます。深煎りほど酸味が弱くなるのは、こういった理由があるからです。
なお生豆が含有する小糖類、クロロゲン酸などがの成分の量は、アラビカ種とカネフォラ種の原種の違い、さらには栽培環境などによっても異なります。この差異が豆の個性にも影響しているのです。
クロロゲン酸は膵臓の細胞の働きを高めるため、2型糖尿病の予防に効果がるとの報告がされています。ほかにもカラダの中の炎症を抑え、酸化を予防する働きがあり、肝臓がんや子宮体がんの発症を抑える効果であると言われています。
“コーヒーが人体に及ぼす影響”を考えるとき、大きく二つに分けることができます。ひとつはコーヒーを飲んで数分からその日のうちに現れる「急性作用」。もうひとつは、長期間飲み続けるとことでどうなるかという「慢性作用」です。
コーヒーを飲んだときに効果をもたらす成分として、誰もが真っ先に思い浮かべるのは「カフェイン」でしょう。カフェインとは、様々な薬に配合されているれっきとした医薬品で、数々の薬理作用があります。このカフェインそのものとコーヒーを同様にみるわけにはいきませんが、コーヒーはほかの飲料と比べてカフェイン含有量が高くその値はカフェインの及ぼす生理作用が現れるのに十分な量です。
カップ一杯(150ml)あたりのカフェイン量の目安
ドリップコーヒー | 80~120mg |
インスタントコーヒー | 50~70mg |
カフェインレスコーヒー | 1.5~3mg |
紅茶 | 60~80mg |
烏龍茶 | 50mg |
煎茶 | 30mg |
番茶 | 15mg |
ココア | 20mg |
例えば、コーヒーの効果としてよく言われるのは「眠気覚まし」ですが、これはカフェインの持つ中枢興奮作用によるもの。この作用は五感の感受性や精神機能(頭の回転)を高めるといった効果をもたらすので、眠気や最新の疲れが取れ、集中力が高まるという効能につながるのです。これらは飲んで間もなく現れる効果なので、前掲の「急性作用」になります。
この急性作用には、他にも
1 中枢神経興奮作用
2 骨格筋運動亢進作用
3 胃液分泌促進
4 利尿作用
5 代謝促進
6 血圧上昇
7 血中コレステロール増加
8 大腸ぜん動運動の亢進
のようなものが挙げられ、そのうち1〜6がカフェインによるものと考えられます。
その他の急性作用について、いくつか具体的に見ていきましょう。
前述の通り、1の「中枢神経興奮作用」により精神の疲れをとって集中力を高めますが、2の「骨格筋運動亢進作用」により、筋肉疲労も軽減してくれます。仕事や運動の後にコーヒーを飲む人も多いと思いますが、理に適ったことと言えるでしょう。
3の「胃液分泌促進」は消化を促す作用ですが、反面、胃液過多による粘膜障害に通じる場合もあるということになります。また、8の「大腸ぜん動運動の亢進」は、どんな成分がこの作用に関係しているかなどはまだよくわかっていませんが、イギリスの調査で、コーヒーを飲んだ人の約3割(うち、およそ6割が女性)に便通の促進効果が見られたとのこと。ただしこちらも、下痢になる可能性も併せ持つということです。
このように、コーヒーがもたらす急性作用はたくさんありますが、誰にでも必ず現れるわけでもなく。「体に良い/悪い」というものでも、ありません、中枢神経興奮作用は、仕事中や車を運転するときなどに有益でしょうが、不眠に悩む人に対しては、さらに悪化させる危険があります。コーヒーにこのような効果を求めたいときは、ケース・バイ・ケースであることも頭に入れておいてほうがよいでしょう。
もうひとつ「慢性作用」についてですが、大雑把に言ってしまうと、こちらは”コーヒーと病気の関係”ということに近いでしょうか。
まず、これもよく聞かれることですが、コーヒーには習慣性があるということ。確かにカフェインによる、軽度の精神依存症があるとされ、長期飲用者が急にやめると禁断頭痛を訴える場合があります。ただしアルコールやタバコと違い、禁断症状が現れても数日で自然に消失するもので、特に問題にならないと考えれています。
コーヒー愛飲者がもっとも気になるのは、”コーヒーは病気になるリスクを高めるのか低下させるのか”ということではないでしょうか。1990年以降、コーヒーと疾患との関係についてさまざまな研究が重ねられ、コーヒーを常飲している人としてない人で、発症リスクを検討した多くの報告があります。なかでも、近年もっとも注目されているのは糖尿病との関係です。
日本の糖尿病患者の多くは、おもに生活習慣が原因で起きる2型糖尿病ですが、コーヒーを飲む人ではこの2型糖尿病になるリスクが低いことが、数多くの調査結果から報告されています。これまで、食事制限や運動といった生活習慣の改善が糖尿病の予防に効果的なことは知られていましたが、「これを摂取すれば糖尿病になりにくくなる」という、はっきりしものは見つかっていませんでした。そのため、コーヒーがなんらかの形で糖尿病の予防に役立つのではないかということに、医学関係者の期待も寄せられています。
また、人々の関心が高い疾患に、癌があります。「がん」といってもいろいろな種類がありますが、肝癌や大腸癌のリスクが低下することが複数の調査結果から報告されています。特に肝細胞がんについては、1日1杯につき、約23%の割合でリスクが低くなるという報告があります。
一方、同じがんでも男性の膀胱癌では、カフェインを多量に摂る人にリスクが高い傾向があることが報告されています。また、妊娠初期にカフェんを多量に摂取すると、流産のリスクが高いことが報告されています、妊娠中にストレス解消にコーヒーは有用だという報告もあるので、適度に楽しむ分には問題がないでしょう。
カフェインを取り除いたコーヒーをデカフェと言います。
カフェイン除去作業は、生豆の段階で行います。かつては有機溶媒に漬ける処理方法が行われていましたが、近年では、味を使用するスイス式水抽出法(The Swiss Wter®︎ Process)や、超臨海二酸化炭素と水のみを使う超臨界CO2抽出法などの方法が開発されています。
1、豆を水に浸す
カフェイン除去用水に、生豆を入れる。カフェインは、平衡点(つり合いが取れるところ)を求めてコーヒー豆から、カフェイン除去用水に移動する。
2、カフェインを除去する
カフェイン除去用水を取り出し、カーボンフィルターでろ過し、カフェインのみを除去する。
3、豆を乾かす
カフェインが除去されたカフェイン除去用水を、再度生豆の入ったタンクに戻す。約8〜10時間。コーヒー豆が99.9%カフェインフリーになるまで、このプロセスを繰り返す。カフェインが除去された生豆を乾燥させる。
1、圧を加える
水に浸した生豆を加圧・加熱し、超臨海状態にした二酸化炭素を投入してカフェインを抽出する。
(超臨界:気体と液体の性質を併せ持つ状態。この状態の二酸化炭素は、生豆の内部に浸透しやすく、効率的にカフェインを抽出できる。
2、カフェインを回収する
圧力を下げて二酸化炭素を気体に戻し、分離したカフェインを回収する。
3、豆を乾かす
生豆を乾燥させる。
カフェインが除去された豆を焙煎することで、デカフェコーヒーが誕生します。デカフェは香りが飛んでしまい、味わいが今ひとつだ、といわれたいましたが、最新の方法では香りや風味を損なわず、カフェインのみを除去できるので、安心して美味しく飲むことができます。
カフェインの効能を受けやすい人はデカフェもおすすめです。
以上コーヒーの成分、カフェインのことは個人差や摂取量の問題も含め、「結論」とするには時期尚早であり、今後の研究を待つ必要があります。また、どの食品についても同じことですが、コーヒーに対して健康効果に過度の期待を持って無理に飲んだり、必要以上に忌避したりすべきものではありません。
コーヒーが自分にとって生活に潤いを与えてくれるものならば、人生のクオリティを高めるものとして楽しむことこそ、ココロとカラダの「健康」に貢献する飲み方なのではないでしょうか。では。
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