コーヒーは世界中で愛されている飲み物ですが、その生産背景について詳しく知る機会は意外と少ないものです。今回は、コーヒー生産国の中でも特に注目されているウガンダにスポットを当て、そのコーヒーが持つ魅力に迫ります。ウガンダのコーヒーがなぜ世界中で愛されるのか、その豊かな味わい、環境への配慮、そして地元経済への貢献について掘り下げていきましょう。さあ、ウガンダの豊かな自然と共に育まれたコーヒーの旅を始めましょう。
正式名称 : ウガンダ共和国
首都 : カンパラ
位置 : ウガンダは赤道をはさんで北緯4度から南緯1度、東経30度から35度の間に位置する東アフリカの内陸国。ケニア、タンザニア、ルワンダ、コンゴ民主共和国、南スーダンと国境を接する。
面積 : 約241037平方km
人工 : 約4800万人(2021年)
民族と言語 : ウガンダには40を超える言語が存在し、その大半がバントゥー語系だが、ナイル諸語に属する言語もいくつか存在する。公用語は英語とスワヒリ語。いずれも土着語ではない。
ウガンダ コーヒーの魅力1: 豊かな味わい
ウガンダのコーヒーは、その豊かな味わいで多くの人々を魅了しています。この美味しさの理由は、ウガンダ独特の自然環境にあります。たとえば、高地での栽培は、コーヒー豆に深みと複雑さをもたらします。また、ウガンダでは主に2種類のコーヒー豆が生産されています。
- ロブスタ種: 強い苦味が特徴で、力強い風味が楽しめます。
- アラビカ種: 甘みと酸味のバランスが良く、香り高いです。
これらのコーヒー豆は、それぞれ独特の味わいを持っており、ウガンダのコーヒーが世界中で愛される理由の一つとなっています。さまざまな味のコーヒーを楽しむことができるのも、ウガンダのコーヒーの大きな魅力です。
ロブスタ
ウガンダで栽培されているコーヒーの4分の3以上がロブスタで、主にウガンダ種とエレクタ種。その次に多いのが、クローン栽培により新たに開発されたコーヒー萎 病耐性種です。ほとんどの農家は、収穫したコーヒーチェリー を昔ながらの方法で生成します。防水シートまたは藁であんだマットの上に広げて天日干しされたキボコは、個人経営の小規模精製所に持ち込まれ、ハード・ロブスタ(天日乾燥したロブスタの生豆のこと)に加工されます。精製費用は現金で支払われることも、コーヒーで支払われることもあります(何スクープ分という単位で計算するため、単位はマチマチです)。また自分たちで協同組合を結成し、脱穀機を所有している農家も存在します。さらに高度な組織運営を行う協同組合は、組合員のコーヒーチェリー の精製から輸出までを担います。このような組合には脱穀機、等級選別機、比重選別機、色選別機などの機械が導入されていますが、地元の女性たちによる昔ながらの手選別も行われています。
ウガンダ産ロブスタコーヒーは、一般的に高品質と評価されています。その理由は生産地域の標高にあります。主に1000m以上という比較的高い標高で栽培されるウガンダのロブスタコーヒーには、低地栽培のロブスタとは比べものにならいほどのコク、深み、なめらかさがあるのです。そのため国際価格(ICEフューチャーズ・ヨーロッパでの取引価格)にプレミアムが上乗せされた価格で取引され、一般的にエスプレッソや複雑な抽出方法でよく使用されます。主な輸出先はヨーロッパ(特にイタリア、ドイツ、ベルギー)ですが、スーダンやインドにも相当量が輸出されています。
少量ではあるものの、一部のロブスタコーヒーはウォッシングステーションでまとめて生成されます。ウォッシュト・プロセスは、豆自体が持つすばらしい特性を引き出してくれます。ヨーロッパやアジアのスペシャリティ市場ではこのウォッシュト・プロセスのコーヒーへの関心が高まっていますが、供給がまだまだ少ないことから、今後ウガンダでウォッシュト・ロブスタの生産が飛躍的に伸びる可能性が期待できます。
アラビカ
ウガンダで生産されるコーヒーのうち4分の1にも満たないアラビカ。その生産地域はエルゴン山、ル ウェンゾリ山地、アルール高地周辺の標高の高いエリアに集中していますが、ウガンダ南西端に位置するキソロ県やカヌング県でも少量が生産されています。標高の高いエリアではSL28、低いエリアではSL14が栽培されている他、エルゴン山ではこの国に昔から存在するブギス・ローカル(別名ニアサランド)と呼ばれる品種が、近年誕生した品種を取り囲むように植えられています。また本来ロブスタの生産地域であるアンコーレ地方では、かティモールも栽培されています。かティモールは低地でも栽培できるアラビカとして、近年ロブスタに代わって導入されました。
収穫されたアラビカのコーヒーチェリー は、数種類の方法で精製されます。エルゴン山やアルール高地では、農家自身がチェリーの果肉除去、発酵、水洗処理、感想を行ってパーチメントコーヒーに加工するのが昔から一般的です。このように作られたコーヒーのことを業界内では「ウォッシュト・ウガンダ・アラビカ」、現地では「ウガール」と呼びます。一方ルウェンゾリやアンコーレでは、チェリーを乾燥させてキボコを作るのが一般的です。この「ドライ・ウガンダ・アラビカ」は現地では「ドゥルガール」と呼ばれ、ウガールよりも価値が下がります。アラビカチェリーの大部分は、現在もこのような昔ながらの方法で精製されていますが、2000年あたりに中央精製所(セントラルステーション)が登場しました。当初はエルゴン山にしかありませんでしたが、その後ルウェンゾリ、アルール高地、さらには南西部にも設置されました。これらの精製所では、収穫されたばかりのチェリーを農家から買い取り、フルウォッシュト、ハニー(果肉除去後、発酵や水栓処理をせずに乾燥させる)、ナチュラル(ロブスタのように天日乾燥させる)の3種類のコーヒーを生産します。ステーションの規模はごく小さなものから巨大なものまで、大小さまざまです。
三大原種が息づくウガンダのコーヒー生産
ロブスタコーヒーはウガンダの在来種であり、中部や南西部など、標高800〜1500m比較的低い土地では至るところでカネフォラ種(ロブスタ)のコーヒーノキを見かけます。コーヒーは家庭やコミュニティ内で受け継がれてきた伝統的儀式で重要な役割を果たしており、ウガンダの文化に根付いています。直火で炒ったコーヒー豆を平らな石で挟んですり潰し、素焼きのポットで抽出する、というのが通常の飲み方です。また客人をもてなす際は、乾燥させたバナナの葉でコーヒー豆を小さく包んで蒸したものを出すのも一般的で、ウガンダの人々はこれを滋養強壮のお菓子のような感覚で噛んで食べます。
一方、アラビカ種は20世紀初頭にマラウイから持ち込まれたました。最初にウガンダ東部のケニアとの国境にまたがるエルゴン山周辺に植えられ、その後、西側のコンゴ民主共和国との国境付近に広がるるウェンゾリ山地や、北西の端に位置するアルール高地にまで広がりました。アラビカのコーヒーノキは標高1200〜2200mで栽培されています。南西部のアンコーレ台地など、アラビカとロブスタの両方が栽培可能な標高(1200〜1500m)の一部地域では、両方が隣り合って栽培されています。しかし通常はそれぞれ必要な気候条件が異なるため、生育環境が重なることはありません。
リベリカ種もウガンダの在来種で、国内の複数の地域で栽培されています。ウガンダ原産の品種は現地では「キサンサ」と呼ばれていますが、世界的にエクセルサ(デ ウェブレイ)として知られる品種との差異ははっきりとわかっていません。また現時点では商業規模で生産されていないため、ウガンダ・コーヒー開発局(UCDA)はキサンサを品種として認めていません。
植民地時代には小規模農家によるコーヒー栽培が奨励され、コーヒー農家は厳しい監視下に置かれました。現地の人々は、天日乾燥させた(主にロブスタ)コーヒーチェリー のことを「キボコ」と呼びます。これは動物のカバと、その革で作った鞭のことを意味するスワヒリ語です(アフリカーンス語では「シャンボク」)。当時、承認された方法でコーヒーを乾燥させなかった農民は鞭で罰せられたため、次第にこの鞭を指す言葉が、乾燥した豆自体のことを指すようになたのです。
ウガンダには、ケニアのようないわゆる「入植者国家」の歴史がありません。そのため、大規模なコーヒー農園の開発を担うためにヨーロッパから大量の移民が流入することもありませんでした。この国では、コーヒーは昔から小規模農家が栽培する作物だったのです。現在、ウガンダ産コーヒーの90%以上が、平均0.5エーカー(0.21ヘクタール)規模の家族経営のコーヒー農園で栽培されているとのこと。このコーヒーシャンバ(「シャンバ」とはスワヒリ語で「畑」を意味し、フランス語の「シャン」が由来)の規模の小ささこそ、ウガンダ産コーヒーが独特の魅力を持つ理由の一つです。
ウガンダ コーヒーの魅力2: 環境へのやさしさ
ウガンダのコーヒー生産者は、美味しいコーヒーを作るだけでなく、環境を守ることにも力を入れています。例えば、木陰でコーヒーの木を育てる方法は、土地を守りながら良質な豆を育てるのに役立ちます。このような取り組みにより、ウガンダのコーヒーは「環境にやさしい」と言えます。
農家の努力:
- 土地を守る栽培方法を実践しています。
- 水を大切に使う工夫をしています。
- 自然と共生するための新しい方法を探求しています。
これらの努力は、ウガンダのコーヒーが持つもう一つの大きな魅力と言えるでしょう。自然を大切にしながら美味しいコーヒーを育てることは、私たちにとっても大切なことです。
ウガンダ コーヒーの魅力3: 経済への貢献
ウガンダでのコーヒー生産は、多くの家庭に収入をもたらし、地域経済に大きく貢献しています。コーヒー農家は、豆を育て、収穫し、売ることで生計を立てています。このように、コーヒー産業はウガンダの人々にとって非常に重要です。
経済への影響:
- 多くの人々がコーヒー生産で生活を支えています。
- コーヒー輸出により、ウガンダの収入が増えます。
- 地元のコミュニティが豊かになります。
ウガンダのコーヒーが世界中で愛されることは、地元の農家の生活を向上させる大きなチャンスとなっています。私たちがウガンダのコーヒーを選ぶことは、遠く離れた国の人々を支援することにもつながります。
コーヒー産業の構造
コーヒーはウガンダの輸出収入の平均15%あまりを生み出しています。ウガンダでは長い間、コーヒーの売買が国専売事業として営まれてきました。植民地時代に設立された協同組合は、国のコーヒー販売委員会から認可を受け、各地域におけるコーヒーの買取を一手に担いました、しかしこの制度が1990年代に終わりを告げると、コーヒー販売委員会は解体され、コーヒー産業は完全に自由化されます。これに伴い、世界のコーヒー企業がウガンダに参入します。国内の農業協同組合は初めて競走のさらされた結果、その多くが破綻に追い込まれました。
近年、協同組合の復活が見られますが、ウガンダに170万世帯存在するコーヒー農家の大半は、自分たちが生産したコーヒーの付加価値を高められるような自治組織を築けずにいられます。2021年現在の推計では、ウガンダの全人口の約4分の1に当たる1200万人がコーヒー産業に携わっているとされます。「1994年コーヒー条例」および「2021年全国コーヒー法」の下、この産業を取締るのが前述のUCDAです。大手グローバル企業数社がウガンダ産コーヒーの大部分を精製・輸出するのに対し、地元の民間企業や協同組合の精製・輸出量は限られています。しかし近年では、小規模の地元企業や外国企業あるいは合弁企業が参入し、少量ながらスペシャリティコーヒーを精製し、世界中のインポーターやロースターに直接輸出しています。さらには農家とロースターの間のダイレクトトレードも少しずつ始まっています。
また、個々の農家から買い取ったチェリーを精製業者やエクスポーターに売り渡す地元の仲介業者も多数存在します。資金不足の農家は、まだ熟していないチェリーを仲介業者に「先売り」することもあります。この場合の買取価格は、熟したコーヒーチェリー の市場価格よりもはるかに低くなります。なぜこのような状況に陥るのかというと、家計が苦しいときに頼れる低金利の貸し付け精度がないからです。すると現金を得るために栽培したコーヒーをかなりの安値で売らざるを得なくなり、貧困の連鎖が深刻化してしまうのです。
この問題や生産性に関する課題に対処すべく、ある協同組合は組合員のコーヒーシャンバを直接管理するサービスを提供し始めました。このサービスを利用する農家には、コーヒーの相場価格から管理費を差し引いた額が支払われ、協同組合は管理費を元手に専門の農学者を雇い、農園の生産性向上に努めます。すると通常2、3年後には農家の得る金額が、組合に支払う管理費をはるかに上回るようになるのです。これは農家と組合の双方だけでなく、ウガンダ全体にとってもプラスになる画期的な取り組みと言えます。
ウガンダ産コーヒーの一部は「フェアトレード」「オーガニック」「レインフォレスト・アライアンス(UTZ)」「C.A.F.E.プラクティス」「4C」認証のいずれか、または複数の認証を取得しています。ただしこれらの認証が小規模農家に実際にどれほど利益をもたらすかについては、議論の余地があります。認証制度の中で唯一、最低価格の保証をしているのがフェアトレードです。この認証制度では、外国のバイヤーは小規模農家から成る協同組合と直接取引をするとともに、現地の社会発展のための奨励金(プレミアム)を輸出価格に上乗せしてから支払う必要があります。しかしフェアトレードで保証される最低価格でさえ、高くはありません。「自分たちの扱うコーヒーの生産方法は他のコーヒーよりもサステナブルだ」というのが認証団体や認証取得済みエクスポーターの主張です。しかしこのような主張には、農家側の視点が反映されてないことが少なくありません。2021年以前のアラビカコーヒーの価格推移を見てみると、平均で1980年当時の4分の1以下(購買力調整済み)の状態が長年続いています。そしてブラジルの霜害で価格が高騰した後も、当時の価格の実質半分以下で取引されているのです。
生産・精製・品質
小規模農家では、コーヒーノキの間にさまざまな食用作物を植えて栽培します。なかでもバナナはほとんどの農園に植えられています。他にも、果樹や自生樹がコーヒーのシェードツリーの役割を果たしています。ウガンダでは、住宅の敷地の周りには必ずと言っていいほどコーヒーノキが植えられていますが、生産用のコーヒーシャンバはもう少し離れたところにあります。
ウガンダ政府はコーヒーノキの栽培本数をさらに増やすため、何千という地元の苗畑を支援し、登録農家に苗木やシェードツリー を無料で配布してきました。この取り組みが功を奏し、ウガンダの生豆輸出量は増加の一途をたどっています。2008-09年期から10年にわたり平均340万袋だった年間輸出量は、ここ3年間で年間平均500万袋という急激な伸びを見せ、2020-21年期には過去最多の600万袋のコーヒーが輸出されました。ウガンダは2030年までに、輸出量を200万袋にまで拡大することを目標としています。達成可能かどうかはまだ分かりませんが、ウガンダはこの目標に向かって着実に進んでいます。
ウガンダ コーヒーの未来
ウガンダのコーヒー産業は、今後もさらに発展していくと期待されています。しかし、それにはいくつかの課題もあります。例えば、気候変動はコーヒー栽培に影響を与える可能性があります。しかし、ウガンダの農家と政府は、これらの課題に立ち向かい、コーヒー産業をさらに強くしていくために努力しています。
未来への取り組み:
- 新しい栽培技術の導入
- 気候変動に強いコーヒーの種類の開発
- 農家の教育と支援の強化
これらの取り組みにより、ウガンダのコーヒーは今後も世界中の人々に愛され続けることでしょう。美味しいコーヒーを通じて、ウガンダの未来がさらに明るくなることを願っています。
あなたもウガンダ コーヒーを楽しもう!
ウガンダのコーヒーを楽しむことは、その味わいだけでなく、ウガンダの人々や自然に対する素晴らしい支援にもなります。自宅でウガンダのコーヒーを楽しむためには、いくつかのポイントがあります。
楽しみ方のポイント:
- 新鮮な豆を選ぶこと
- 自分好みの挽き方や淹れ方を見つけること
- コーヒーの背景にある物語を知ること
また、ウガンダのコーヒーを選ぶことは、地球の環境を守る努力にも繋がります。美味しい一杯を通じて、遠く離れたウガンダの地で育ったコーヒー豆の物語を感じてみてください。それは、新しい発見とつながりの始まりです。
まとめ
ウガンダのコーヒーについて深く知ることで、ただ美味しいと感じるだけでなく、その一杯が持つ背景や価値をより深く理解できるようになりました。ウガンダのコーヒーを選ぶことは、遠く離れた生産者のサポートにもつながり、環境保護にも貢献するということを忘れないでください。今日からあなたも、ウガンダのコーヒーをより一層楽しむことができるはずです。ウガンダのコーヒーと共に、新たな発見と豊かな味わいを毎日の一杯に加えてみてはいかがでしょうか。
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